最終更新:2026年8月17日
※本記事は公式サイト・各種メディア報道・用具データベースをもとに作成しています。情報の正確性を保証するものではありません。誤りがあればお問い合わせフォームよりご連絡ください。クラブセッティングは試合ごとに変更される可能性があります。最新情報はJLPGA公式サイトや各メーカー公式サイトでご確認をお願いします。
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2026年の全英女子オープンを制した桑木志帆選手のキャディバッグには、ドライバーからフェアウェイウッド、アイアン、ボールまで、ブリヂストンの用具がずらりと並んでいます。契約ブランドですから、当然といえば当然です。
ところが14本のうち1本だけ、まったく別のメーカーのものが混ざっている。
パターです。
そして調べてみると、同じことが世界ランキング上位の選手たちにも起きていました。
この記事では、国内のメルセデスランキング上位10名と、世界ランキング上位10名——合計20人が実際に使っているパターを、全部並べて調べました。 読み進めると、こんなことが見えてきます。
- 世界ランキング5位の選手が使っているパターは、2万円台で普通に買える
- 20人のうち最も多かった1本があり、それは国境をまたいで使われていた
- 「プロはピン型(ブレード)」という思い込みが、数字ではっきり否定される
ドライバーやアイアンで推しの真似をするのは、正直なところ難しい。でもパターは違います。14本のうち、唯一こちら側にも手が届くクラブです。
自分の推しが何を持ってグリーンに立っているのか。そして、それは自分にも買えるものなのか。順に見ていきましょう。
桑木志帆選手の14本は、パターだけブランドが違う

桑木志帆選手が使っているのは、ピレッティというアメリカの小さなパター専門メーカーの「GSS ツアーオンリー」というモデルです。
ブリヂストンにもパターはあります。それでも桑木選手は、契約の外にあるこの1本を選んでいます。
同じことが、地球の反対側でも起きていました。世界ランキング3位のユ・ヘラン選手はテーラーメイドの契約選手で、ドライバー、ミニドライバー、アイアン、ウェッジ、ボールに至るまですべてテーラーメイド。
唯一の例外が、スコッティキャメロンのパターです。
用具契約は選手にとって重要な収入源で、通常は14本すべてを縛ります。それでもパターだけは、例外が認められることがある。
パターは、契約よりも本人の感覚が優先されるクラブなのです。
これから20本を並べていきますが、この構図は何度も顔を出します。
そもそもパターだけは、なぜ特別なのか

本題に入る前に、40代からゴルフを始めた方に向けて、この記事の前提を共有しておきます。
14本のうち13本は、正直なところ真似するのが難しい。
プロのドライバーは、ヘッドスピードが違いすぎます。アイアンも同じで、シャフトの重さと硬さがまるで別物です。プロと同じモデルを買っても、多くの場合はうまく使えません。
ただし、パターだけは話が別です。
パッティングにヘッドスピードは要りません。距離は数メートルから十数メートル。筋力も飛距離も体格も、ほぼ関係のない世界です。しかもスコアの3割から4割はパット数が占めます。
つまりパターは、プロと同じ土俵に立てる唯一のクラブなのです。推しの選手が使っているモデルを知ることには、単なる興味以上の実用的な意味があります。
国内|メルセデスランキング トップ10の使用パター

メルセデスランキングは、JLPGAツアーの各大会で決勝ラウンドに進んだ選手に順位に応じたポイントが与えられ、年間の総合的な活躍度を示すランキングです。2026年8月17日時点の上位10名を並べます。
| 順位 | 選手 | 使用パター | 形状 | 市販 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 桑木志帆選手 | ピレッティ GSS ツアーオンリー | ブレード | ✕ ツアー専用 |
| 2 | 菅楓華選手 | オデッセイ TRI-BEAM #2 | ブレード | ○ |
| 3 | 永井花奈選手 | テーラーメイド スパイダー ツアーX | マレット | ○ |
| 4 | 佐久間朱莉選手 | PING スコッツデール DS72 ※ | マレット | ○ |
| 5 | 荒木優奈選手 | オデッセイ(モデル確認中) | — | — |
| 6 | 河本結選手 | オデッセイ ホワイトホット OG ロッシー | ミッドマレット | ○ |
| 7 | 阿部未悠選手 | 確認中 | — | — |
| 8 | 高橋彩華選手 | テーラーメイド スパイダー ツアーX | マレット | ○ |
| 9 | 鈴木愛選手 | PING スコッツデール テック | マレット | ○ |
| 10 | 小林光希選手 | テーラーメイド TP リザーブ トラス | — | ○ |
※佐久間朱莉選手は2025年シーズン時点の確認情報です。
1位・桑木志帆選手 ― 契約の外にある1本
前述のとおり、クラブとボールはすべてブリヂストン、パターだけがピレッティです。ピレッティはアメリカの少量生産メーカーで、日本での知名度は決して高くありません。しかし、今回の桑木選手の全英女子オープン優勝によって、今後知名度が上がることが予想されます。
全英女子チャンピオン 桑木志帆プロ記念モデル|POTENZA II LN 66万円
全英女子オープン優勝を記念して、特別に生産された一本
2026年シーズン、そして全英女子オープンを制した桑木志帆プロが使用する「POTENZA II LN(ロングネック)」。
その歴史的な優勝を記念し、PIRETTI CEO Mike Johnsonが急遽特別生産を決定した記念モデルです。

→ 桑木選手の人柄については桑木志帆選手の紹介記事もあわせてどうぞ。
2位・菅楓華選手 ― マレットからブレードへ
菅楓華選手は2026年シーズン、パターを大きく変えました。前年終盤に使っていたのはマレット型の「オデッセイ 2-Ball イレブン」。そこからブレード型の「TRI-BEAM #2」へ乗り換えています。

これは業界の流れに逆行する動きです。近年のトレンドは、ミスに強い大型マレットへの移行。そこをあえてシンプルなブレードに戻したところに、菅選手のパッティング観が出ています。
なお、こちらは普通に買えるモデルです。
3位・永井花奈選手 ― 契約フリーで選び直した1本
永井花奈選手は2026年から用具契約フリーになりました。前年までヤマハと契約していましたが、もともと2026年からはフリーにするつもりだったところに、同社のゴルフ用品事業撤退のニュースが重なったという経緯です。
誰の縛りもない状態で、ゼロから選び直した14本。 そのパターがテーラーメイドのスパイダー ツアーXでした。契約に左右されない純粋な選択だという意味で、参考価値の高い1本です。

6位・河本結選手 ― 実売2万円前後のパターでメジャー制覇
河本結選手はキャロウェイの契約選手で、ドライバーからボールまでキャロウェイで統一しています。パターは同じグループのオデッセイで、モデルは「ホワイトホット OG ロッシー」。
注目すべきはここです。このモデルは、オデッセイの中でも最も手の届きやすい価格帯に属します。 海外での参考価格は150ドル前後。ツアーの最前線で戦っている選手が、量販店の棚に並んでいるものと同じ設計のパターを使っている。この事実は、後半でもう一度出てきます。

→ 河本選手については河本結選手の紹介記事で詳しく書いています。
9位・鈴木愛選手 ― 白いヘッドという選択
ツアー通算の実績で言えばこの10人の中で最も長いキャリアを持つ鈴木愛選手は、2026年にPINGの「スコッツデール テック」を投入しました。白いヘッドのパターです。
白は芝の緑との明暗差が大きく、構えたときにフェースの向きが把握しやすいという狙いがあります。ベテランが新しいものを取り入れる場面は、それ自体が見ていて面白いところです。

海外|世界ランキング トップ10の使用パター

続いて世界(ロレックス女子世界ランキング)の上位10名です。2026年8月時点の順位で並べています。
| 順位 | 選手 | 使用パター | 形状 | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ネリー・コルダ選手 | テーラーメイド スパイダー ツアーX(Torched) | マレット | 市販版$350 |
| 2 | ジーノ・ティティクン選手 | オデッセイ ホワイトホット ベルサ セブン | マレット | $250 |
| 3 | ユ・ヘラン選手 | スコッティキャメロン ファントム 11R OC | マレット | — |
| 4 | キム・ヒョージュ選手 | オデッセイ O-Works ツアー R-Ball S | ミッドマレット | 2017年モデル |
| 5 | ロッティ・ウォード選手 | オデッセイ ホワイトホット OG ロッシー | ミッドマレット | $150 |
| 6 | 山下美夢有選手 | テーラーメイド スパイダー ツアーX | マレット | $350 |
| 7 | チャーリー・ハル選手 | テーラーメイド TP Soto | — | $200 |
| 8 | イン・ルオニン選手 | オデッセイ系(モデル確認中) | — | — |
| 9 | ハンナ・グリーン選手 | スコッティキャメロン ファントムX 5.5 | マレット | $580 |
| 10 | キム・セヨン選手 | オデッセイ イレブン ※ | マレット | — |
※キム・セヨン選手は情報が古い可能性があり、確認中です。6位・7位は情報源により山下美夢有選手とチャーリー・ハル選手が入れ替わります。
3位・ユ・ヘラン選手 ― パターを替えた週に、メジャーを獲った
ユ・ヘラン選手のバッグは、ドライバー、ミニドライバー、アイアン、ウェッジ、ボールまですべてテーラーメイド。唯一の例外がスコッティキャメロンのパターです。
しかもこのパターにまつわる話がすごい。2026年のKPMG全米女子プロ選手権の初日、ユ選手はテーラーメイドの「5K-ZT」を使っていました。ところが途中でスコッティキャメロンの「ファントム 11R OC」に持ち替え、そのままメジャー初優勝を飾っています。
大会の最中にパターを替えて勝つ。 プロにとってパターがいかに感覚のクラブであるかを、これ以上ないかたちで示した出来事でした。

6位・山下美夢有選手 ― 日本と世界をつなぐ1本
日本勢として唯一トップ10に入っている山下美夢有選手は、テーラーメイドのスパイダー ツアーX。国内の永井花奈選手・高橋彩華選手と同じモデルです。
このパターについては、次の章で詳しく触れます。
20本を並べて見えてきた4つのこと

ここからが、この記事の本題です。
① 「スパイダー ツアーX」が国境を越えて最多だった
20人中、確認できただけで5人がテーラーメイドの「スパイダー ツアーX」を使っていました。
- ネリー・コルダ選手(世界1位)
- 山下美夢有選手(世界6位)
- 永井花奈選手(国内3位)
- 高橋彩華選手(国内8位)
これは偶然ではありません。LPGAツアー全体で見ても、単一モデルとしてこのスパイダー ツアーXが最も多く使われています。契約ブランドも国籍もバラバラな選手が、同じ1本に集まっている。大型マレットの完成形として、現時点でひとつの答えになっているということでしょう。
なお、コルダ選手のものは「Torched」という特別仕上げのプロト仕様です。市販版とは表面処理が異なります。
② 世界トップの半分は「普通に買えるパター」を使っている
ここが一番の驚きでした。価格を並べてみます。
- ロッティ・ウォード選手(世界5位):約150ドル
- チャーリー・ハル選手(世界7位):約200ドル
- ジーノ・ティティクン選手(世界2位):約250ドル
- 山下美夢有選手(世界6位):約350ドル
LPGAツアー全体で見ても、使用パターの価格の中央値は375ドルほどです。日本円にして5万円台。 10万円を超えるパターがずらりと並んでいるかと思いきや、まったくそんなことはありませんでした。
ドライバーの世界とは事情が違います。パターは高いものが強いクラブではない、ということが数字に出ています。
③ 河本結選手とロッティ・ウォード選手は、同じパターを使っている
表をもう一度見てください。国内6位の河本結選手と、世界5位のロッティ・ウォード選手。まったく同じ「オデッセイ ホワイトホット OG ロッシー」です。
日本のツアーで戦う選手と、イギリスからLPGAに上がってきた選手が、示し合わせたわけでもなく同じ1本にたどり着いている。しかもそれが最も安い価格帯のモデルだという事実。
推しと同じパターを持つ、というのが現実的な選択肢になる。 この記事で一番お伝えしたかったのは、この点です。
④ 「プロはピン型」は、もう成り立たない
最後に形状の話です。LPGAツアー全体の内訳はこうなっています。
- マレット(大型):45%
- ミッドマレット:28%
- ブレード(ピン型):18%
ブレードは2割を切っています。「上級者ほどシンプルなピン型を使う」というイメージは、少なくとも現在の女子ツアーには当てはまりません。7割以上がマレット系です。
理由は単純で、マレットはヘッドが重く慣性モーメントが大きいため、多少芯を外しても方向がブレにくいからです。ミスに強い道具を、プロほど積極的に使っている。
この構図は40代から始めたゴルファーにとって、そのまま追い風になります。やさしいパターを選ぶことに、何のうしろめたさもありません。
そのうえで、菅楓華選手のようにあえてブレードに戻す選手もいる。ここは好みと感覚の領域です。
推しと同じパターを買う前に、確認してほしいこと

モデルが分かると欲しくなるのが人情です。ただし、買う前に押さえておきたいことが3つあります。
① 長さは、身長ではなく前傾姿勢で決まる
市販のパターは33〜35インチが標準です。ただし適正な長さは身長だけでは決まりません。前傾の深さと腕の垂れ方で変わります。
構えたときに目線がボールの真上か、やや内側に来るのが目安。長すぎると目線が外側に出て、押し出しやすくなります。プロのパターは1インチ単位でカスタムされているので、同じモデルを買っても長さは別物だと思ってください。
② 重さは、グリーンの速さと相性がある
日本の一般的なゴルフ場のグリーンは、ツアーのセッティングよりかなり遅めです。速いグリーン向けの軽いヘッドをそのまま持ち込むと、距離感が合わないことがあります。
③ ツアー支給品と市販品は別物のことがある
桑木志帆選手のピレッティが典型です。「ツアーオンリー」と名前についているものは、そもそも市販されていません。ネットで似た名前の商品を見つけても、同じものとは限らないという点は頭に置いておいてください。
この記事の表で「市販○」としたものだけが、店頭やオンラインで手に入るモデルです。
まとめ|パターは、推しと同じ土俵に立てる唯一のクラブ

20本を並べて分かったことを、3つにまとめます。
① パターだけは、契約より感覚が優先される。 桑木志帆選手もユ・ヘラン選手も、他の13本を契約ブランドで固めながら、パターだけは外に出ました。それだけ個人的なクラブだということです。
② 高いパターが強いわけではない。 世界ランキング上位の選手たちが、2万円台から5万円台のモデルを普通に使っています。
③ 同じモデルは、実際に買える。 河本結選手とロッティ・ウォード選手が同じ1本を使っているように、私たちも同じ棚に手が届きます。
ドライバーで推しの真似をするのは難しい。でもパターなら、同じものを持ってグリーンに立てます。次のラウンドの帰りに、ショップの棚を覗いてみてください。
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